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家族信託という言葉をよく耳にするようになりましたが実は、内容がよくわからない!という方からの質問や相談が多くあります。
家族信託ってどんな場合に必要なのか?をごく簡単に理解するには「現代に黄門さまがいたら・・・」と考えると少しわかりやすいかもしれません。
「今は元気だが、将来認知症などになってしまったら、財産管理ができなくなってしまう。」
と心配になった徳川光国(ノリカワ ミツクニ)は
「よし!息子の綱吉(ツナキチ)に財産を託し、隠居して諸国漫遊の旅に出よう」
と思いつきました。しかし・・・
「いや、待てよ。貸家の契約更新や修繕などが発生した場合に、不動産の所有者である私が、契約書にサインするために旅先から呼び戻されるのはかなわんな」
「いやいや、認知症になってしまった場合は、そもそも契約自体ができないな。どうしよう。」
と、悩んだ光国は・・・
「そうだ!不動産の名義を綱吉に変えてしまえば、所有者として綱吉が全て管理や契約ができるぞ。生前贈与で名義を変えてしまおう」
と思いつきました。しかし・・・
「いや、待てよ。生前贈与をすると多額な贈与税がかかってしまう」
「んっ?贈与で名義変更する際の登記費用は割高だったんじゃないか?」
「いやいや、それどころか贈与してしまうと、家賃収入も息子の綱吉のものになってしまう」
「年金と家賃収入で諸国漫遊の旅の費用を捻出しようと思っているのに、私の収入が減ってしまうではないか・・・」
「何かいい方法はないのじゃろうか?」
現代の黄門様の悩みを解決する方法としては、「家族信託」が有効であると思われます。
厚生労働省が2022年から2023年にかけて認知症やMCI(軽度認知障害)の有病率を調べたところ、2040年には認知症が約584万人、MCIが約613万人にのぼるとしたデータを公表しました。
認知症とされる人は、2022年現在の約443万人から大幅に増え、また更にそれより多くの高齢者がMCIになる見通しとなり、65歳以上の高齢者のおよそ15%、6.7人に1人が認知症となることを予測しています。
家族信託とは、家族に財産の管理・運用を任せる信託契約のことです。
例えば「親が将来的に認知症になった後も、親の財産を子どもが管理できるようにしたい」という場合に家族信託は有効です。
家族信託を使うことによる効果やメリットの代表的なもととして
● 本人の希望に即した財産管理や、資産の組換え等が実現できる。 ● 名義のみ変わり、権利はそのままのため、贈与税はかからない。 ● 遺言機能としても有効(2次、3次相続にも対応) ● 成年後見制度などによる「資産凍結」の回避が可能。 |
などがあります。
これで、『現代の黄門様』は、財産管理などを『息子の綱吉』に託し家賃収入などは、『綱吉から受取り』、安心して諸国漫遊の旅にでることができます。
家族信託については、当事務所の代表の著書『「相続」の勘どころ』にも掲載しています。
■著者:吉野 広之進(税理法人 オフィス オハナ代表)
■発行所:税務研究会出版局(週刊「税務通信」「経営財務」発行所)